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スポーツ現場で軽視されやすい足関節捻挫について〜まとめ記事〜|スポーツ医学

 

どうも、ふじけんです。

今回は足関節捻挫についてのまとめ記事です。

足関節捻挫は最も頻度が高いスポーツ外傷の1つとされています。

早期の正確な診断初期の的確な治療が、後の足関節の状態に大きく左右します

基本的な知識だけでもいいので頭に入れておきましょう。

なるべく簡潔に以下の内容をまとめてあります。

  1. 受傷機転・予防
  2. 症状
  3. 検査・診断
  4. 治療・復帰の流れ

参考にしてただければ幸いです。

 

 

足関節捻挫

足関節捻挫最も頻度が高いスポーツ外傷の1つです。

早期の正確な診断初期の的確な治療がされない場合、足関節の不安定性が残存し、捻挫を反復する可能性が高くなります

受傷時のRICE処置および適切な固定が、後の予後を左右します

また競技復帰までのリハビリテーションがとても重要になります。

受傷後に腫脹がある場合や歩くのが難しい場合は、靭帯損傷や骨折を疑い、X線検査のみでなく超音波検査やMRI検査も検討すべきです。

 

捻挫は軽視されがちですが、再発を繰り返しやすい外傷です。しっかりと向き合いましょう。

 

 

受傷機転・予防

足関節捻挫はジャンプの着地や切り返し、ダッシュからの急激なストップで受傷することが多いです。

足関節は多く分けて2つの捻挫に分けられます。

  • 内反捻挫
  • 外板捻挫

足関節が内がえしとなる内反捻挫と、外がえしになる外板捻挫があります。

圧倒的に内反捻挫が多いです。

受傷頻度の高いスポーツ種目は、バスケット、バレーボール、ハンドボール、サッカー、ラグビーなどです。

バスケットなどではジャンプの着地で人の足に乗った際に受傷することも多いです。

バレーボールではネット際のプレーで相手や味方の足に着地して受傷するケースが多いです。

 

下肢の外傷予防として、FIFA(国際サッカー連盟)がFIFA11+などの外傷予防プログラムを提唱しています。

捻挫を反復させないためには、適切な受傷時の対応(足関節装具を装着)と回復後の神経筋トレーニングなどのリハビリがとても大切なります。

 

 

症状

内反捻挫では足関節外側に痛みや、腫れ、発赤を伴います。

外板捻挫ではその逆(内側)になります。

 

重症例では内反捻挫でも内側が腫れることがあります

 

腫脹は損傷した靭帯の出血や炎症により生じます。

痛みや腫れが強い場合は、立つことも歩くことも難しいケースがあり、可動域も著しく制限されます。

捻挫は繰り返していると、足関節の不安定性や引っかかり感が強くなり再受傷のリスクがより高くなります

不安定感は受傷後の筋力低下やバランス不良などが原因のことも多いため、簡単に考えずにしっかりとリハビリに取り組むべきです。

 

 

検査・診断

足関節捻挫した場合、現場では靭帯損傷と骨折を正確に判別するのは難しいです。

立てない』『歩けない』などの症状がある場合や、『骨に沿って圧痛がある場合』『腫れの程度がひどい場合』にはX線検査を行う必要があります。

軽視せずに速やかに整形外科を受診しましょう。

靭帯や腱などの軟部組織の評価には超音波検査MRI検査が有効です。

足関節の外側の痛みでは、前距腓靭帯踵腓靭帯前下脛腓靭帯のほか腓骨筋腱が疑われます。

内側の痛みでは、三角靱帯(内側側副靱帯)を構成する前・後脛距靱帯脛踵靱帯脛舟靭帯が疑われます。

 

内側側副靱帯の破断強度は、外側側副靭帯に比べて格段に高いです。

そのため内側側副靱帯断裂が生じるほどの負荷が加わった場合には、靭帯断裂ではなく内果のは剥離骨折などが生じることが多いです。

 

不安定性は徒手的な前方引き出しテストや、内がえしのストレスをかけた状態でのX線検査や超音波検査により判定されます。

最近では、超音波検査にて前距腓靭帯損傷の動的評価が行われることが多くなってきました

実際の検査では踵を椅子に乗せて固定し、プローブを靭帯の上に固定します。

そのあと、検査者は下腿を後方へ押すことで距骨の前方引き出しテストを誘発し、靭帯損傷を動的に評価します。

 

足関節周囲の骨折には第5中足骨基部骨折外果骨折内果骨折後果骨折舟状骨骨折などがあります。

詳細な評価にはCTが有用です。

 

 

治療・復帰の流れ

まず、現場でのRICE処置が重要であり、その後の治療法や治療期間は受傷度によって異なります。

急性期の足関節靭帯損傷では手術治療保存療法予後に差はないとする報告が多くみられます。

そのため急性期には保存療法を選択するケースが多いです。

また従来はギプス固定と免荷で数週間の安静を取ることが推奨されていました。

しかし近年では、足関節装具へ早期に変更し、保護下に荷重させることが治療促進の点からも推奨されています

靭帯の回復過程として、

炎症期が終わる受傷後4〜12週間までの間に修復される

その後リモデリングを繰り返し、約6〜12ヶ月で靭帯強度が高まる

 

それ以前のスポーツ復帰に関しては、足関節装具やテーピングでのサポートが推奨されています。

基本的には損傷した組織が自然に修復するのを待つことになります。

当然放置いておくとあらゆる機能が低下していく恐れがあります。

  • 関節可動域制限
  • 筋力低下
  • 神経筋機能不全
  • バランス能力低下
  • 固有感覚低下

 

これらを生じさせない、あるいは改善させ、スポーツ復帰後の再受傷リスクを低減させることが大切になります。

機能改善に伴い負荷強度を上げ、復帰に必要な動作を取り入れたトレーニングを行なっていきます。

 

また捻挫を繰り返し、不安定性が残存している場合は靭帯再建術が行われます。

ハムストリングス腱を用いた再建術のほか、瘢痕部を切除して腱上部断裂端と縫合する前進術や伸筋腱支帯を引き寄せるなどの補強術が行われることもあります。

脛腓靭帯が損傷した場合や、三角靭帯損傷を伴う場合は、腓骨と脛骨を引き寄せるようにスクリューを挿入する手術が行われることがあります。

受傷部位が異なったり、術式が違う場合でもその後のリハビリが極めて重要なことは確かです。

 

 

まとめ

今回は足関節捻挫について、基本的な内容をまとめてみました。

スポーツ現場では軽視されやすい外傷ですが、迅速かつ適切な対応が必要になります。

繰り返してしまうと、靭帯にストレスが蓄積し、関節の不安定性が増大します。

適切なリハビリを行い、丁寧な競技復帰を目指しましょう。

 

足関節捻挫については、また今後も更新していきますのでお楽しみに。

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