どうも、ふじけんです。
トレーニング中によくある肩の痛み。
悩まれている方は多いんじゃないでしょうか?
トレーニングの方法が間違っている可能性もあるのですが、
それ以上にそもそもの肩関節に問題があるケースがほとんどです。
今回は肩関節痛の発生源のひとつであるインピンジメント症候群について解説していきます。
そしてインピンジメント症候群の原因には3つのポイントがあると私は考えています。
- 運動パターンの問題
- 構造的な問題
- 退行変性による問題
それでは一緒に原因を紐解いていきましょう。
目次
インピンジメント症候群とは?
インピンジメント(impingement)とは、日本語では衝突・激突と訳されます。
肩関節におけるインピンジメント症候群は、上肢挙上に際して上腕骨大結節が、肩峰および嗚口肩峰靭帯と衝突して起こる種々の症候を指します。
インピンジメントはあくまで現象であって、原因ではありません。
つまりインピンジメント(現象)が、なぜ起こってしまうのかわからないと解決しようがないということです。
そして、「インピンジメント」=「痛み」という図式は正確ではありません。
疼痛の発生源について
痛みが生じている場合の発生源ですが、肩峰下滑動機構を構成する組織に何らかの機械的刺激が加わることで生じるといわれています。
つまり、肩峰下の空間がより狭くなればなるほど、その刺激は相対的に大きくなると考えられます。
上肢の外転運動では、上腕骨頭が腱板の近位への滑りとともに、大結節が肩峰下に位置する時に、肩峰下腔はは空間として窮屈になると考えられます。
この時骨頭が不安定であると、骨頭が上方へ変位すると腱板が挟み込まれたり、大結節が嗚口肩峰アーチや肩峰に衝突するなどのインピンジメントが発生します。
これらの不安定性の結果として疼痛が生じるわけです。
徒手検査法
ここでは、インピンジメントが原因で疼痛が生じている場合の徒手検査方法を紹介します。
いくつかの徒手検査法がある中で、一般的に広く用いられているものが2つあります。
- Neerのインピンジメントテスト(Neer impingement test)
- Hawkinsインピンジメントテスト(Hawkins impingement test)
Neerのインピンジメントテスト
患者を座った姿勢とし、検者の手で検査側の肩甲骨を固定します。
そのあと、患者の腕を肩甲骨面で他動的に外転させます。
この際に疼痛が生じたり、クリックサインを認めた場合にテスト陽性となります。
クリックサインとは、クリックの様な音が鳴ることをいいます。
Hawkinsテスト
患者を座った姿勢とし、肘関節90°屈曲位のまま、肩関節を肩甲骨面で約90°外転位とします。
ここから、患者の上肢に内旋強制を加えることで疼痛が生じたり、クリックサインを認めた場合に陽性となります。
原因は何か?3つのポイントまとめ
前述したとおり、インピンジメントはあくまで現象であって原因ではありません。
インピンジメントがおきてしまう原因を解決しなければ、組織が回復してもまた再発するでしょう。
私は原因には3つのポイントがあると考えています。
- 運動パターンの問題
- 構造的な問題
- 退行変性による問題
それでは1つずつ解説していきます。
1.運動パターンの問題
まず3つのポイントのうち、変えられるのはこの運動パターンのみだと考えています。
後ほど残り2つは説明しますが、運動パターンの問題として大きく2つに分けられます。
- 肩甲骨の運動
- 上腕骨の運動
インピンジメントというのは肩甲骨と上腕骨に対して起こるものと考えられますので、
この2つの運動パターンの異常を修正することで、インピンジメントを防ぐことが可能と言えます。
(注:しかし、原因はそこだけとは限りません。ここではこの2つに絞らせていただきます。)
そして、まず前提として肩関節の構造と、肩甲骨と上腕骨の運動の関係性について理解が必要です。
わからない人はこちらの記事をご参照ください↓↓
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肩甲骨の運動の問題
肩関節外転時には肩甲上腕リズムに従い、上腕骨に対して肩甲骨が上方回旋することで、肩峰下の空間が保たれると考えらます。
逆に肩甲骨が動かなかったり、上腕骨が動いてくる位置に肩甲骨(肩峰)が位置してしまうとインピンジメントが発生してしまいます。
その肩甲骨の運動パターンの問題として以下が挙げられます。
- 肩甲骨の上方回旋が不足
- 肩甲骨の後傾が不足
- 肩甲骨の挙上が不足
- 肩甲骨の内旋が過剰
これらの運動パターンの問題により、上腕骨と肩甲骨の位置関係を考えるとインピンジメントの発生が予測できると思います。
あとはなぜこの運動パターンが起こってしまうのかを考えることで解決できます。
膨大な量になってしまうため、1つ1つの細かい解説については順次記事にしていきまので、よろしくお願いします。
どの運動パターンにも共通していえることがあるのため、そちらを紹介させていただきます。
それは、前鋸筋と僧帽筋の機能不全です。
機能不全といっても筋力が弱いとかというよりは、運動パターンの問題がほとんどだと私は思っています。
筋力というより、肩関節を動かすうえでいかに前鋸筋や僧帽筋を動員して動かせるかが大切になります。
また前鋸筋や僧帽筋の筋活動の低下や、収縮タイミングの遅延が疼痛と関連していることも一部報告されています。
特に前鋸筋の機能不全の改善がインピンジメントの改善の鍵になると私は考えています。
そして僧帽筋は代償として働きやすく、動員のタイミングの問題が大きいため、適切なタイミングでの収縮を足痛することが鍵となります。
インピンジメントには肩甲骨の動きの問題が関与し、その動きの鍵は前鋸筋の機能不全や僧帽筋の活動遅延などが強く関与している。
上腕骨の運動の問題
肩甲骨の動きは不足や代償が問題となりやすいです。
一方で上腕骨の運動は、関節内副運動が問題となりやすいため、評価が難しく自己解決が困難だと私は考えています。
上腕骨の運動パターンとして以下が挙げれます。
- 上腕骨の外旋不足
- 上腕骨の上方すべりが過剰
- 上腕骨の前方すべりが過剰
これらの上腕骨の動きと副運動が過剰になることで、インピンジメントの発生が予測されます。
上腕骨頭は、主に『転がり=回転運動』と『滑り=並進運動』という2つの運動により狭い空間を動いていると考えられます。
この副運動が過剰になることが問題といえます。
また肩甲上腕関節は前額面上の外転で上腕骨を外旋しなければ突出した大結節が肩峰下空間の組織を挟みこみ衝突します。
どちらの問題にも共通して大切なことがあります。
それはローテーターカフ(回旋筋腱板:棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)の機能です。
ローテーターカフが機能することにより、上腕骨頭は求心位(いいポジション)を保ちながら肩関節の運動が行えます。
これが機能しないと、より大きなアウターの筋肉が優位となり副運動が過剰になっていまします。
副運動も外旋運動もローテーターカフがしっかりと機能することで、上腕骨頭は求心位を保つことができるわけです。
2,構造的な問題
構造的な問題について説明していきます。
その言葉通り、その個人が生まれ持った構造上の問題になります。
長い腕だったり、胸椎の過度の後弯や側弯など、個性になるので様々あるんですけども
それらが肩関節において良い構造とは限らないということです。
例えば、胸椎が過度に後弯していると胸郭もより樽の様に円柱状になり、胸郭上にある肩甲骨は胸郭に沿って過度に内旋位を位置しているかもしれません。
また長い腕であれば、肩関節を動かす際によりモーメントが大きくなるわけですから、それだけ大きな筋活動が必要となり、大きな三角筋などを動員しやすい環境と言えるかもしれません。
また長い腕=重たい腕と考えた時に、重たい腕に引っ張られて肩甲骨を下制させやすいかもしれません。
このように生まれ持った構造上の問題から、アライメントや運動パターンに異常が生じインピンジメント症候群に繋がる可能性が考えられます。
そして、これらを改善することは容易ではないと考えられます。
長い腕を短くしたり、胸椎の後弯を変えることなんて考えられないですよね。
なのでこの構造に合わせたトレーニングや生活をすることが大切となります。
構造上の問題は、まず自分の構造を知り、理解することから始めましょう。
可能であれば信頼のあるセラピストやトレーナーに評価してもらうことをオススメします。
3.退行変性による問題
退行変性とは、いわゆる老化現象のことを指します。
加齢や繰り返し動作による疲労が関係しています。
組織自体が弱体化したりすることもあるのですが、関節などの変形などによる問題などによりインピンジメントを起こす可能性も考えられます。
これも構造的な問題と類似しており、加齢に伴う変性に応じて、運動を修正することが大切になります。
なんでトレーニングで痛くなる?
さあ本題です。
基礎的なインピンジメントの仕組みはある程度理解できたと思います。
なぜトレーニングで肩が痛くなるのでしょうか?
考えてみましょう。
この記事を読んでいく中で気付いた点はありませんでしたか?
鍵となる筋肉達を思い出してみてください。
そうです。
鍵となる筋肉達は、小さく繊細な動きをする筋肉ばかりなんです。
ましてや筋トレで鍛える時に聞く様な筋肉ではなかったと思います。
よく世間的にいうインナーマッスルなんです。
筋トレでよく鍛えるのはアウターマッスルなんですね。
これが問題なんです。
共同筋間のアンバランス
共同筋間のアンバランスとは、同じ作用を持つ筋肉内での働きやすさの不均衡をいいます。
例えば肩関節外旋の場合、上腕骨がより安定して運動するためには、ローテーターカフである棘上筋や棘下筋、小円筋がキーマッスルと言えます。
これは肩関節外旋運動のインナーマッスルになりますね。
じゃあアウターは何かというと、みなさん大好きの三角筋(後部線維)になります。
トレーニーの多くは、プル系種目やリアレイズで三角筋(後部線維)を特異的に発達させています。
これにより肩関節の外旋運動において三角筋(後部線維)が優位となりやすく、共同筋間のアンバランスが生じていると言えます。
三角筋後部線維が優位になることで上腕骨頭の安定性が欠如し、それが原因で肩関節の痛みが生じてしまいます。
トレーニーにとって三角筋後部線維を鍛えることも大切ですが、肩関節の外旋運動でローテーターカフを機能させることも大切です。
まとめ
肩の痛みの発生源になりやすいインピンジメント症候群についてまとめてみました。
トレーニングをしている方で、肩の痛みがある人はインピンジメントが起こっているかもしれません。
まずは自分の身体を知ることが大切です。
顔と一緒で、身体にも個性があります。
教科書通りの身体なんてありません。
そのため最強の治療法というものも存在しません。
その人にあった治療が必要になります。
なので最大の対策方法は何度もいうように、自分の身体を知り、理解することになります。
トレーニー自身が、解剖学や運動学を理解し、学ぶことが大切だと思っています。
もし痛みで悩んでる方は、再発や悪化する前に信頼できるセラピストに評価してもらい自分自身の身体の特徴を理解することがまず第一歩です。
みなさんで痛みなく理想の身体作りを目指しましょう。