どうも、ふじけんです。
現場での応急処置や救急搬送時に対応したことはありますか?
どれだけ経験豊富な人でも、緊急時の対応というものは臨機応変さを求められ、緊張すると思います。
今回は、応急処置の基礎と救急搬送までの事前準備を含めてまとめてみました。
緊急時に迅速な対応をするためには、準備が大切です。
定期的に復習しましょう。
目次
現場での処置
応急処置
怪我人や急病人が発生した場合、医療従事者に限らず、その場に居合わせた人が応急処置を速やかに行えば、救命効果の向上や治療の経過にもいい影響を与えることは医学的にも明らかになっています。
またスポーツ現場で怪我人が出た時に、病院や診療所にいくまでの間、損傷部位の障害を最小限に留めるためにも、応急処置は欠かせません。
この応急処置は、その後の早期スポーツ復帰に欠かせないものとなります。
逆に応急処置をしなかったり、不適切な処置を行うと復帰までの時間がかかる恐れもあります。
正しい知識と技術を身につけ対応することが必要となります。
RICE処置
一般的に打撲や捻挫などの外傷が生じた際に行うべき応急処置として、RICE処置がよく知られています。
スポーツに携わる方なら一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
まず組織損傷の修復過程について以下のように進みます。
- 急性炎症期(損傷を受けた細胞の壊死、毛細血管の破綻、白血球が損傷部へ集積)
- 増殖期(毛細血管や線維芽細胞の増殖)
- 成熟期(コラーゲン繊維の再構築)
RICE処置は、急性炎症期に生じた、出血や炎症を抑え、腫れを長引かせないために行われるものです。
炎症反応を抑えることで、周辺部位への二次損傷の拡大を予防できると考えられています。
RICE処置は以下の各頭文字を表しています。
- Rest 安静
- Ic-ing 冷却
- Compression 圧迫
- Elevation 挙上
1つずつ説明していきます。
Rest 安静
患部の安静(Rest)は、出血や痛みを最小限にするため、外傷が生じた現場では最も基本的な事項となります。
しかし、長期間の安静は筋力低下や関節拘縮が起こるため、適切な安静期間については、専門家の判断が必要です。
むやみに動かしたり、根性論で競技を続けさせては絶対にいけません!
Ic-ing 冷却
冷却(Ic-ing)は、毛細血管を収縮させることで血流および腫れを抑え、また神経の働きを抑えることで痛みを軽減させます。
また、受傷部位周辺の細胞代謝を下げ、二次損傷予防にもつながります。
しかし、冷却時間が長時間に及ぶと逆に組織や神経損傷を伴う可能性があるため、一回の冷却時間は20分程度として、間隔をおいて行った方が良いとされています。
Compression 圧迫
圧迫(Compression)は出血による腫れを防ぎます。
また、圧迫により受傷部位の動きが抑えられるため、安静の効果を高めることができます。
Elevation 挙上
挙上(Elevation)はまず、受傷部位を心臓より高くすること示します。
挙上することは、受傷部位への血流を減少させ、静脈還流を増加させることで腫れを抑えることができます。
静脈還流とは、心臓から出た血液が動脈を通って体内に行き渡ったのちに、静脈を通って心臓に戻ることをいいます。
PRICE?POLICE?
近年では、RICE処置に保護(Protection)を加えたPRICEや、あるいは安静(Rest)を、Optimal Loading(適切な負荷)に置き換えたPOLICEという概念が広まりつつあります。
Protection 保護
安静だけでは、損傷した組織を保護できないことから追加されました。
装具やシーネなどで損傷組織を保護しすることで、再受傷や損傷部位の悪化を防ぐことが目的とされています。
Optimal loading 適切な負荷
前述の通り、急性損傷の早期管理として必要以上の固定、安静は悪影響を及ぼすことが分かってきています。
早期に適切な負荷をかけることで最適な組織修復を促すことが目的になります。
各組織、部位に対する適切な負荷は専門家の意見を聞いてから行うことが推奨されています。
創処置
創処置の目的は生体の持つ治癒機転を補助することであるといわれています。
創処置にあたっては局所のみでなく、全身状態を把握し、受傷機転、受傷からの時間、既往歴、アレルギーなども聴取しておくと良いと思われます。
圧迫止血
圧迫止血は創処置の基本になります。
清潔なガーゼ等を創に直接あてて圧迫します。
これを直接圧迫止血法といいます。
創が泥などで汚れている場合は、水道水で十分に洗い流します。
他人の止血を行う場合は、感染予防のためにゴム手袋などの使用が勧められています。
もしメディカルスタッフとして帯同する場合は準備しておきましょう。
湿潤療法
湿潤療法は消毒せず、乾燥させない方法になります。
近年では、創傷治療の創を消毒後、ガーゼを当てて乾燥させるという手技から消毒せずに乾燥させない湿潤療法へと移行しています。
理由は、消毒薬は細胞傷害性があり、乾燥は生きている細胞を死滅させるため、創の治癒を遅延させるとされているからです。
また、ガーゼは組織修復に関わる因子を含む浸出液を吸い取るほか、傷口に固着して剥がす際に出血や痛みを伴い、再生上皮も同時に剥離される可能性があるからです。
たしかに絆創膏やガーゼを剥がす時に痛かったり、再出血した経験はあるかも知れません。
湿潤療法では、ガーゼの代わりにハイドロコロイド被覆材などを用いることで、痛みを少なく、早く、綺麗に治すことができるとされています。
しかし、創の種類や大きさ、汚染の程度、縫合処置の必要性など、個々の創に応じた対応が必要になると考えられます。
搬送
スポーツ現場で選手が倒れ、歩行困難な場合は担架を用いて搬送します。
頭頸部損傷の場合や、傷病者に意識がない場合、頚椎を保護する必要があります。
その場合は頚椎カラーなどの装着が推奨されています。
担架に乗れせる際は、選手の頭側に位置するリーダーが選手の頸部を固定するようにします。
Log Roll 法
3人で選手の体を手前に90°回転させ、残りの1人がボードを背中にあて、仰向けに戻します。
リーダーは体の回転に伴い、頭を回転させます。
Lift and Slide 法
両脇の3人ずつで体を持ち上げ、もう1人が足の方からボードを挿入する方法です。
どちらの方法においても、日常から搬送の訓練をしておくことが推奨されています。
これは人手もいるため、医療スタッフに限らずチームでの練習をお勧めします
緊急時に迅速に対応する方法(まとめ)
そもそも緊急対応時に遭遇すること自体あまり多いことではないかも知れません。
私自身数える程しかないのが事実です。
しかし、緊急時こそ迅速な対応が求められます。
そんな時どうするべきか。
そうです。備えるのです。
準備がとても大切になります。
準備といっても、道具から対応するための知識・技術など様々あると思います。
道具や知識などはその人の努力次第でどうにかなります。
大切なのは、その練習会場や試合会場などの下調べです。
下調べとは、近隣の病院情報やその会場のAEDの場所、担架の場所などです。
また救急車なども呼んだ時に現場から救急車まで、どうゆうルートで行けば最短で行けるかなど、細かな会場内の構造も知っておくと良いと思います。
そして、もしあなたがメディカルスタッフとして1人で同行する場合は、会場の住所のメモなども書き留めておくと良いでしょう。
怪我人が出た時に1人で対応するわけではありません。
AEDの手配や救急車の要請などを他の人に指示する必要があります。
そんな時に会場の住所メモなどを控えておくと、メモごと渡せばすぐ他の人に指示できますよね。
重症になればなるほど皆慌てます。
そんな時でも迅速に対応するために、そういった細かい工夫はとても効果的です。
特に初めて行く会場などは念入りに下調べをしてきましょう。
まとめ
今回は現場の応急処置と救急搬送時の対応についてまとめてみました。
一番伝えたいことは、下準備の大切さです。
基礎知識はもちろん大切ですが、緊急時というのは誰でも慌てしまいます。
迅速にかつ正確に対応するためにも、徹底した下準備を行いましょう。